昔、お茶は薬だった

いろいろ入ったお茶の成分

栄養たっぷりの一煎目

疲労回復にはお茶が一番

お茶の一杯が頭の回転をよくする

 
昔、お茶は薬だった
 

 朝起きがけに飲むお茶の一杯、あるいは、食事を終えたあと、じっくりと味わうお茶の一杯、なんともいえないいいものですね。心地良さが体全体に広がっていくようです。やはり日本人だなーと、しみじみと思うという方も多いのではないでしょうか。

 お茶は今では日常飲まれていますが、昔はそうではありませんでした。薬としてでした。中国では、漢の時代からお茶が飲まれていますが、その頃はもっぱら解毒用としてでした。日常飲まれるようになったのは三国時代からといわれています。

 日本の場合、お茶の伝来には最澄や空海、栄西などに代表されますが、中でも栄西は著書「喫茶養生記」(1212年)の中で、「お茶は養生の仙薬なり」と書いています。当時お茶が大変効き目のある薬として扱われていたことがよくわかります。また、栄西はこの書物の中で、お茶を飲んでいると心臓が丈夫になり、二日酔いにきき、病気にもかからないといっています。

薬用として飲まれていた頃は、お茶に甘葛(あまずら)をいれたり、生姜で辛味をつけていたようです。嗜好用として一般 に広まったのは、江戸時代の初期からです。

 

いろいろ入ったお茶の成分
   お茶は体にいい、多くの方がそうおっしゃいます。それもそのはずで、お茶には体にいい成分がたくさん含まれています。その数はなんと十数種類にものぼります。

 しかも、お茶が他の一般の植物の葉と違うのは、第一にカフェインを含むことです。カフェインは、眠けをさまし、疲労回復に効果 を発揮するため、現代のようなストレス社会には貴重な成分といえます。

 次に、タンニンがたくさん含まれることです。タンニンは胃や腸の粘膜を保護し、その働きを促します。胃腸の弱い方に特に必要な成分です。また、もう一つ大きな特徴として、ミネラルの中のマンガンが多量 に含まれることがあげられます。これも物質代謝に欠くことのできない成分です。他にも、疲労回復をはじめ、高血圧にも効果 的なビタミンCがたくさん含まれますし、アミノ酸も豊富です。さらに葉緑素、青葉アルコール、マンガン以外のマグネシウムなどの無機成分もたくさんはいっています。

 世界で40万とも50万ともいわれる数の植物の中で、ビタミンC、タンニン、カフェインの3つの成分を含むものは、ほんの数種類といわれます。その一つがお茶です。

 

栄養たっぷりの一煎目
 

 最初のお茶の一杯を口にしたときの、なんともいえない香りと味、心落ち着く瞬間ですね。どなたも、お茶は最初の一杯が一番おいしいとお感じなのではないでしょうか。

 お茶の葉を急須にいれ、お湯を注ぐと、葉がゆっくりと広がっていき、湯がきれいな緑色にかわっていきます。その最初の一杯をいただいた時の美味しさには、格別 のものがあります。

 栄養の面でも、一煎目のお茶と二煎目からのお茶には違いがあります。なんといっても栄養が豊富なのは一煎目のお茶です。お茶に含まれるいろいろな成分が、最初にお茶をいれたときに、いっしょに抽出されるのです。ですから一煎目のお茶には味や香りの他に、成分もまたたっぷり含まれます。その点、二煎目、三煎目のお茶では、一煎目で大部分の成分が出てしまうために、成分はそれ以上抽出されません。

 でも二煎目、三煎目のお茶にはそれぞれの味わいがあります。一般 に一煎目のお茶は味や香りを、二煎目以降のお茶はうまみや渋味を味わうといわれます。それぞれのよさを是非味わって頂きたいと思います。

 

疲労回復にはお茶が一番
 

 最近、どういうわけか疲れやすい。そんな悩みをお持ちの方はいませんか。疲労は万病の元。早いうちに回復したいものです。

 ところで疲れた時にお茶を飲むと、全身から力がすっと抜け落ちて、疲れも洗い流されるような気分になったことはありませんか。それはあながち、気分的なことだけではないのです。実際、お茶は疲労回復に大変効果 を発揮する飲み物なのです。

 疲労を回復するには、体の中にたまった疲労物質を外に排出しなくてはなりません。その点お茶に含まれたカフェインがその働きをしてくれます。というのも、カフェインには血液の循環をよくし、利尿作用を活発にする働きがあるからです。この二つの働きでもって、体にたまった疲労の素を外にだしてくれるのです。

 同時にこれは、耐久力を増すことになります。疲労が早く回復すれば、それだけ耐久力、持続力が増すことになります。そうすれば仕事やスポーツに、思う存分力を発揮することができます。

 疲れやすいとお悩みの方は、手近かなところからその対策をしましょう。それにはお茶を飲むのが一番てっとり早く、効果的です。

 

お茶の一杯が頭の回転をよくする
   前の晩、夜ふかしをしてしまった、あるいは、なんとなく頭がボンヤリしてすっきりしない。皆さんもそういった経験はきっとお持ちでしょう。特に受験生は、頭がいつもさえていないと、受験勉強にも影響します。

 でも、どうすればいつも頭をすっきりさせておけるかとなると、なかなか効果 的な方法は見つからないものです。

 そこで、方法の一つとして有効なのが、お茶です。というのも、お茶にはカフェインが豊富に含まれていて、脳を刺激して頭の働きを活発にしてくれる働きがあるからです。また、穏やかな興奮作用というのもあります。カフェインが大脳中枢、特に大脳の知覚中枢に興奮的な作用を及ぼします。よく、お茶を飲んで寝ると、なぜか興奮していつまでも眠くならない、という人がいますが、まさにそれはカフェインの興奮作用によるものです。

 頭をスッキリさせ回転をよくするには、一杯のお茶が有効です。